教育支援専攻の設置目的
横浜国立大学大学院教育学研究科は、これまで幾度かの改革を重ねて様々な社会の要請に応えつつ、教育の現在的諸課題に取り組んできている。しかし、社会環境の急速な変化に伴い、学校教育をめぐる諸問題はより一層、複雑・深刻化している。そこで2021年より教育学研究科全体を再編し、高度教職実践専攻(教職大学院)を拡充するとともに、修士課程として、「心理支援コース」と「日本語教育コース」の2コースからなる「教育支援専攻」を設置した。
学校教育に対する支援には、言語支援や学習支援、特別支援、行事や部活動への支援、通学支援など、多種多様な支援があり、特に、心理的な支援が必要な児童生徒や外国につながる児童生徒及びその保護者等は、マイノリティの存在であり、みえにくい存在であった。日本の教育において取りこぼしなく根底から支え充実化を図るには、心理と日本語教育の支援が不可欠である。心理支援コースと日本語教育コースは、教育現場における理論とそれに基づいた実践を通して、多種多様な支援をする人材を育成するという共通の理念のもとで、専攻共通科目「教育支援デザイン」を設置し、近未来社会の諸問題と深く関わった具体的な教育支援の在り方について理解を深めることを目指す。
心理支援コースでは、多様なニーズをもつ子どもへの適切な対応や保護者・地域の問題解決を図っていくために、高度な実践性と専門性を備えた人材を養成する。そのために、公認心理師の受験資格を得ることのできる教育課程を編成する。また、学校心理士資格にも対応したカリキュラムを提供し、学校や教育相談に関する科目を充実させることで、教員としての知識・技能を兼ね備えた心の専門家、子どもの心の発達や問題について深く学び、学校における子どもや保護者に対する支援の中核になり得る教員の育成・輩出も目指す。
日本語教育コースでは、日本語教育の専門的知識、学術的知見、理論を学びつつ、自身の研究課題を継続的に追究し、かつその成果を踏まえ、国内外の教育機関において高度な実践力を発揮できる能力、実践的な日本語教育能力に必要な広い知識・能力を獲得し、日本語教師の質の向上に貢献できる教師教育のできる能力、異文化間教育、多文化共生に関する理論的知識を獲得し、グローバルに活躍できる能力を身に付けた人材を養成する。